携帯電話のインセンティブ廃止に思う

「1円携帯」が規制される可能性があるという。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070622it01.htm

端末が安く買える代わりに、インセンティブが通話料値下げの障害になる。ひいては、頻繁に買い替えるユーザーが得をし、長く使うユーザーが損をするという理屈らしい。

こういう規制が「官」主導で行われることには違和感を感じる。護送船団をほうふつとさせるからだ。キャリアが自主的にユーザーに選択肢を示すべきなのである。しかし、その考え方自体には賛同する。

ソフトバンクが割賦販売を始めた時に、ずいぶんと批判があった。説明不足という点ではソフトバンクに非があっただろう。しかし、結果としてこれは正しい方向性だった。

インセンティブというのは、通話料に跳ね返るという意味で、実質的には割賦と同じである。しかし、その明細はブラックボックスとなり、キャリアが通話料収益のどの程度をインセンティブに充てているのか、ユーザーからは見えにくくなる。ユーザー側の選択肢は少ない。

対して、割賦販売は明確にそれを分離することが可能となる。実際にはインセンティブも多少は残っているのかもしれないが、ここをどうするかは今後のキャリアの方向性次第だろう。

消費者は賢くなっている。端末の価格だけではなく、トータルコストを考えて携帯も選ばれる時代になるだろう。その際に不明瞭なインセンティブ制度は消費者の理解が得られないのではないか。

しかし、重ねて言うが、こういった選択肢は「民」が消費者に問うべきなのであって、「官」があれこれ言うべき問題ではない。しかも、どこも同じような事をしていた不健全な状態のときには、だんまりを決め込み、どこかの会社が先行してやり始めたら、悪平等を促すようなやり方は、どうにも気に食わないのだ。

先行者はいつも痛みを伴う。それは当然のことであり、覚悟して臨むべき。
だからこそ、最大の利益を得るべきなのだ。

日本では、たいてい先行者が一番損をする。法治国家らしからぬ、法律に基づかない「指導」という名のおせっかいと、法の不遡及原則( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E3%81%AE%E4%B8%8D%E9%81%A1%E5%8F%8A )の無視がはびこっているからだ。